依存~愛しいキミの手~
わだかまりが溶けたワケじゃないが、さゆ姉のおかげで一応私に普通の生活が戻ってきた。


だけど、キャバクラは続けていたし、クラブ通いも続けていた。


時間が足早に過ぎていちょうの木が綺麗に黄色く染まり始めた頃。


クラブ友達が薬物所持で捕まった。


よく行くクラブのガザ入れだった。


これは本当にヤバい、自分もいつか捕まると危機感がわき、私はやっと薬をやめることができた。


すんなりやめれたと書いたが、自分が思っていたよりは楽だったという意味。


手の震えや、喉の乾き、やめた最初の数日間はフラッシュバックが起きて何度も手をつけそうになった。


そういう時に支えになっていたのは、圭介だった。


圭介の笑顔や優しく頭をなでてくれる手が、私を癒やしてくれた。


圭介とキスをしたのはあの時だけ。


それ以来キスをすることはなかった。


私も知美の言葉通り、圭介と一緒に思い出を作っていくことで心が満たされ春子さんのことを気にすることもなくなっていた。
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