依存~愛しいキミの手~
ラルフのカーディガンをまとい、バーバリーのマフラーを首に巻く。


「準備できた?」


茜とゆきが私の机の前にやってきた。


「お待たせ大丈夫!」


3人で学校を出て電車に乗った。横浜駅で東横線に乗り換え渋谷に出る。


「あれ?そういや圭介に出会ったのってここだっけ?」


ハチ公口からスクランブル交差点へ向かう途中、茜が足を止め言った。


「うん。そこのベンチ」


もう半年近くもたつんだ…。


懐かしく思い、口元が緩む。


「てか、圭介とは何も進展ないの?」


茶色い髪をクリップで束ねながらゆきが聞く。


「進展はない…けど、圭介がいるのが当たり前になって、前みたいに緊張したりはしなくなったかな」


「キスの理由はまだ分からないの?」


コンビニの袋からストローを出し、イチゴオレを飲む茜。


私は笑って頷いた後


「でもね、周りにはあんまり見せない優しく笑った顔とかよく向けてくれるから、少し期待しちゃう部分がある」


と、カーディガンの袖で口元を覆い話した。


「私が気になるから早く聞いてよ(笑)」


茜がそう冗談を言う。


知りたい気持ちがないと言ったら嘘になる。


だけど、圭介と一緒にいるのが当たり前で、それがすごく心地良くて、きっと圭介も同じなんだと言うのは、周りにはめったに見せない優しい笑顔を見ていたらなんとなく分かる。


恋愛対象じゃなくても、もしかしたら特別な存在になれているかも…そんな期待があった。
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