依存~愛しいキミの手~
「私はあすかの家族好きだけどな」


優しく笑って言う知美が信じられなかった。


「顔すごい(笑)おじちゃんもおばちゃんも面白いし、かおちゃんだって毒舌だけどそこがいいし」


抱えた膝に耳を当て、上目使いで言ってくる。


「外の顔だって。家族になったら悲惨だよ(笑)」


そう言ってタバコに火をつけた。


玄関の開く音がしたかと思ったら、すぐに部屋のドアが開いた。


「知美来てたのか!こっち来いよ、1杯付き合え」


オヤジだった。


オヤジは知美のことを物凄く気に入っていて、遊びに来ると必ず晩酌に誘う。


知美も断ればいいのに、楽しいからとついていってしまう。


…そういえば、知美の父親ってろくでもないって言ってたもんな…。


嬉しそうに部屋を出て行く知美を見て、複雑な気持ちになった。


やっぱり私はまだまだガキすぎるんだろうな…。


知美からしてみたら、きっとうちの家族はすごく羨ましいくらいなんだ。


私が反抗をやめたらうまく行くのかもしれない…。


そうタバコを吸いながら反省しかけていると、ドアがバンっと開いた。


肩を揺らし見ると、すげー目つきの姉ちゃんが立っている。


「あんた人の部屋入ったでしょ!?」


「あー、ちょっと借りたい本あってさ」


「タバコ臭くなるから返してよ!つーか勝手に入らないでよ!」


そう言ってベッドに置いてあった本を乱暴に掴み出て行った。


…うん、やっぱりいい家族なんかじゃない…。
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