依存~愛しいキミの手~
圭介と手をつなぎバイクの所まで歩く。


「明日学校遅刻すんなよ(笑)」


圭介が笑った。


「遅刻したら推薦取り消されちゃうもん!」


私も笑う。


いつもと同じように手をつなぎ、いつもと同じような会話。


でも、お互いを流れる空気は変わっていた。


帰り道の途中、最寄り駅のゲーセンでプリクラを撮ってと頼んだ。


付き合った記念が欲しかったから。


別れ際、またキスをして圭介のバイクが見えなくなるまで手を振った。


家につきベッドに倒れ込んだ。


うつ伏せになり顔だけ横に向き、さっき撮ったプリクラを見る。


へへへっ。


私本当に圭介と付き合えたんだ…。


口元が緩みっぱなしになる。


私は携帯を手に取り美香に電話をかけた。


「あのね!」


私は興奮しながら美香に今日の出来事を話した。


「まじで!?まじ!?本当に!?おめでとう!!私すごい嬉しっ…」


美香が泣き出した。


私もつられて泣いた。


嬉し泣きしたのは人生で初めてだった。


私は何時間も美香と電話し、受話器を耳に当てたまま寝ていた。


目覚ましが鳴り、またいつもの生活が始まる。


だけど、いつもと違う。


空の青さがいつもより澄んで見える。


冷たい風が心地良く感じる。


面倒くさい学校が楽しく思える。


先生や親の小言が素直に受け止められる。


圭介が彼氏になっただけで、こんなにも世界が変わるんだ。
< 236 / 441 >

この作品をシェア

pagetop