依存~愛しいキミの手~

近づいた

「…いつになるか分からないよ?」


「…付き合うまでも結構待ったつもりだから、大丈夫」


え?


私は大きく目を開け圭介を見る。


圭介は起き上がってタバコに火をつけた。


寝転がって驚いたままの私の腕を引っ張り、肩を抱きながらまた髪をなでる。


吸っていたタバコを、私の口にくわえさせ、圭介は新しいタバコをとり火をつけた。


深く吸い込み、圭介の口から白い煙りがゆっくりと吐き出される。


そして私を真っ直ぐに見つめた。


「俺、多分最初から好きだったんだ…お前のこと」


半分テレながら笑う圭介の顔が、すごくかわいかった。


「最初…って?」


「1番最初。6月に渋谷で会った時」


タバコを持つ手を首の後ろに当て、照れたような表情を浮かべる圭介。


「何でか分からないけど、お前に興味があった。お前のこともっと色々知りたいと思ってた。自覚はなかったけど、今思えば好きになり始めてたんだよ」


圭介が灰皿に灰を落とす。


「お前に会うまでは、しょっちゅう春子の夢見てたんだ。前に進んでるつもりだったけど、ふとした時に思い出して春子の姿探してたし、墓参りにも行けなかった。天ぷら屋でさ、春子のことお前に話してすげーすっきりして初めて墓参り行けたんだ。それから、いつの間にか春子のこと思い出すことがなくなって、お前のことばっか考えてた。夢に出てくるのもお前に変わったし(笑)」


そう圭介が照れながら、でも優しく笑って言った。
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