依存~愛しいキミの手~

夜桜

春休みのとある日曜日。


私は圭介の部屋にいた。


ベッドに寝ころんでたわいない話をしていた。


「夜桜見たくね!?」


圭介が突然起き上がりテレビに指を向け言った。


夜桜…。


テレビを見ると、お花見スポットの特集がやっていて、ちょうど湘南平の夜桜が映っていた。


「見たいかも!行っちゃう!?」


圭介の膝の上に頭を乗せ、下から覗き込みながら言う。


「行っちゃおう!湘南平行くぞ!」


くしゃっと笑う圭介がかわいかった。


そんなノリだけの流れでバイクで何時間かかけ、神奈川の湘南平へ行った。


広場の脇に広がる桜の木。手を繋ぎ桜の下を通った。


「夜桜って下から見るのが1番きれいだよな…」


圭介がそう言って立ち止まり桜を真下から見上げた。


下から!?


私も真下から見上げてみる。


うわっ本当だ…。


「すっごい綺麗…」


暗い空に白く見える桜が広がり、その間から星の光が輝く。


着物を見ているような感覚だった。


「ここ星よく見えるから、さらに綺麗だな…」


手をつなぎ、星を見上げながら展望台まで進む。


展望台に登り、湘南平定番の南京錠を2人でフェンスにかけた。


フェンスのかかっていない階に行き、しばらく夜景を見ていた。


「丘公以来だね。」


国道1号の街灯が並んで輝く景色を見つめながら言った。


「ん?」


圭介が私に視線を落とす。


私も圭介に視線を移した。


「2人で夜景見に来たの、港の見える丘公園以来だね」


そう言って私はあの時みたいに圭介の腰に腕を回す。


圭介も優しく笑って私の腰に手を回した。
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