依存~愛しいキミの手~
いつもの川でタバコを吸っていた時だった。


「おとといから、りょうと連絡がつかないの…。何か知らない?」


見たことない暗い顔で知美が言った。


りょうちゃん…?


「あ!そういえば、圭介が3日間くらい無断欠勤してるって言ってた…」


昨日遊んでいた時、そう言われ同じように何か知美から聞いてないかと言われた。


暗いと言うよりも、青ざめた表情に変わる知美。


「え…連絡とれなくて無断欠勤って、何かあったんじゃ…!?」


私が目を丸くしながら言うと、知美はタバコの灰をコンクリートに落としながら、首を横に振る。


「女と逃げたのかも」


ため息混じりの空笑い。


女と…逃げた…?


意味が分からず知美の顔を見つめる。


知美はゆっくり力なく私に顔を向け口を開いた。


「私とりょうって施設育ちなの」


「施設?」


「児童養護施設。虐待に遭った子や、親を亡くした子なんかが保護される場所」


白い煙りを吐き出す知美の切ない横顔。


初めて知った2人の過去。


私は驚きと戸惑いで、何も言葉が返せなかった。
< 273 / 441 >

この作品をシェア

pagetop