依存~愛しいキミの手~
知美は小さい頃親が働かず、虐待まであったので施設に預けられたらしい。


そこで一緒に育ったのがりょうちゃん。

りょうちゃんも小さな頃虐待に遭い親に捨てられ、中学卒業まで施設にいた。


知美は小学校に上がる時親元に帰り今の家で育った。

施設は電車で10分くらいの所にあったため、よく遊びに行きりょうちゃんとはずっと仲良く、知美が中1の時から付き合っているらしい。


でも、りょうちゃんはちょこちょこ浮気をしたり、女と逃げたり、だらしない男だったらしい…。


売上のために店に呼ばれたり、恋人なのか色恋なのかセフレなのか良く分からない関係だったけれど、私と圭介が付き合ったくらいから変わり、浮気もなくなり店に呼ばれることもなくなったと、悲しい目をしながら微笑んだ。


「…今まで話さなくてごめんね…」


知美が俯きながら言う。


「ううん、そんな簡単に話せることじゃないと思うし…。知美がりょうちゃんはずるい人って言ってた意味がやっと分かった」


私はタバコを指ではじいて川へ飛ばした。


「りょうはね、愛を過剰に求める人なの。両親から捨てられた分、人からの愛をすごく求めてた。だから私1人じゃ埋めてあげられなかったんだ…」


知美の大きな目に涙が溜まって行く。


「りょうちゃんは知美のこと大切にしてるんだって、見てて感じたよ。行方くらましたのだって、絶対何か理由があるよ!」


ハンカチを知美に差し出し、頭をなでた。
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