依存~愛しいキミの手~
俯いていた修ちゃんが顔を上げ、タバコを深く吸い込み指で後ろにはじいた。


綺麗な弧を描きタバコが川へ落ちていく。


「知美、りょうちゃんの死受け止められなくて、りょうの姿探してるのかも…」


美香が、灰の長くなったタバコの煙りを見つめながら呟いた。


「…」


りょうちゃんの姿を探してる…。


私には知美が今何を考えて、どうやって過ごしているのかさえ想像がつかない。


もし圭介が殺されたら…?


そんなことも想像できない。


想像つかないくらい、知美は暗い闇の中にいるのかもしれない…。


「無事…だよね…?」


ゆきが口を押さえながら震える声で呟く。


「りょうの後追ったりしてないよね…?」


その言葉を聞き、胸が締め付けられて涙が溢れ出した。


そんなことあるわけない!


…なんて、言うことはできなかった…。


「知美ちゃん、りょうが死んだって新聞で知って、最初に施設に行ったみたいだよ」


施設…?


「りょう、中学の頃に親と離縁してさ身元引受が施設だったんだ。だから何か知ってると思ったんだろうね」


離縁…。


りょうちゃんの笑顔に隠されていた過去が、死んでからどんどん明かされる…。
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