依存~愛しいキミの手~

パンドラの箱

「梅雨だねー」


窓から雨が降り暗い空を見上げながら呟いた。


「ジメジメして自分までカビ生えそうだよな(笑)」


圭介がソファーに座り、缶コーヒーを飲み込んだ。


「カビ生えるほど引きこもってないし(笑)」


笑いながら圭介の隣に座り、タバコに火をつけた。


「カビ生えないようにどっか行くか」


圭介がくしゃっと笑い、私の頭をなでる。


買ったばかりの圭介の車に乗り、雨の中ドライブに出かけた。


フロントガラスに跳ねる雨が街灯で照らされ、前に見た湘南平の夜桜を思い出す。


「テスト勉強平気?」


「今度優が教えてくれるって。圭介今日出勤だよね?」


圭介がタバコに火をつけながら頷く。


「あ、いい物件見つけたから来月越すことにしたよ」


圭介は1人暮らしするのに、家を探していた。お店からの距離や、便利さなど色々圭介なりの条件があるみたいでなかなか見つからないと嘆いていた。


「どこに越すの?」


私もタバコに火をつけ聞いた。


「代々木。やっと希望通りの物件見つかったよ」


「家具とか揃えるの楽しそうだね」


笑って言うと、圭介が優しく私を見て髪をなでた。


「お前の趣味にしていいよ」


!?


「じゃあフリルたくさんのカーテンに、花柄のソファーとかにしちゃおっと(笑)」


そう冗談を言って笑ったが、圭介の言葉がすごく嬉しくて、心が幸せに満たされていた。
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