依存~愛しいキミの手~
ギャル男と隣に座り、気まずい雰囲気が流れる。


…さすがに昨日は飲みすぎてたからって八つ当たりしたしすぎたし、謝るべきかな…。


「昨日はごめん…」


そう言ったのはギャル男の方だった。


驚いて俯いてた顔をギャル男に向ける。


「飲酒で送るなんて、言われなかったらバカなことだって気づかなかった…」


頭をかきながら照れくさそうに言った。


「いや、ギャル男が悪いわけじゃないし…」


「ギャル男?」


「…!!あ、こめ…名前知らなくて」


ギャル男は猫のような目をして屈託ない顔で笑う。


「聡」


そう名前を教えてくれた。

美奈子が小柳ゆきの『あなたのキスを数えましょう』を歌い始めた。


…何でこんな盛り下がる選曲…。


歌を聞いていて嫌でも圭介を思い出す。


「ごめん、ちょっとトイレ…」


私は部屋を出て入口脇の階段に座り込んだ。


はぁあー…


大きくため息をついたあと、目をつむりタバコを吸い込む。


何でもかんでも圭介につなげて思い出す…。


いい加減こんな自分に疲れる…。


「こんな所にいたの?」


!?



目を開けると、聡が隣に座っていた。


カチャン


ジッポを開く音に反応するように、聡の手元に視線を当てる。


ジッポ…。


また思い出しそうになる頭を横に振った。


「別れた彼氏のこと引きずってんだってな」


!?


なんで……美奈子が言ったのか…。


「愚痴ならいつでも聞くからな!」


聡が無邪気な笑顔を見せた。
< 318 / 441 >

この作品をシェア

pagetop