依存~愛しいキミの手~
街にまたイルミネーションが灯る時期が来た…。


地元の駅前も遊びに行く駅前も、みんなイルミネーションで装飾されている。


「マルキュー行かない?」


いつものごとく髪をくしゅくしゅやりながら、蘭が聞いてくる。


「あーいいね!セール見たい!」


美奈子がカレーを食べながら言った。


「私今日予定あるんだ、ごめん」


黒い髪を耳にかけ、ラーメンをすする知美。


マルキュー…渋谷…。


私は圭介と別れてから都内には行かなくなった。


もし万が一圭介に関わりのある人に会ってしまったら、きっと圭介の様子を聞いてしまう。


…ううん、そのまま圭介の家に行ってしまうと思うから…。


悩んでいるように見えたのか、蘭が箸の先を私に向けて聞いてきた。


「つーかさ、あすかって渋谷とか原宿誘うと毎回悩むよね?何で?」





何でって言われても…。


「会いたくない人がいるんだよね?」


知美が横からフォローしてくれた。


「そう…会いたくない人がいるんだ…」


私は下を向いてハンバーグを箸で切った。


会いたくない…。


会わす顔がない…。


会いたい…。


1番しっくり来るのは会いたくないかもな…。


そう思いながら、ハンバーグを口に含んだ。
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