依存~愛しいキミの手~
「ねぇ君たち」


またか…と思い美香とシカトして足を踏み出した時。


「どっかお店勤めてる?」


え?


美香と立ち止まり顔を見合わせた。


「お店勤めてないなら、働く気ない?」


私は全く言ってる意味が分からなかった。


「どこの店?」


美香がタバコを吸いながら聞く。


「あ、俺フリーなんだ。色々紹介できるよ。キャバが希望…だよね?」


美香とスカウトの人が何か話しているが、内容が分からず全く話についていけない。


私はパーカーを脱いで脇にズレて座り込んでタバコを吸い始めた。


なんとなくで分かったのは、美香は働く店を探してるのかな…ってこと。


「じゃあ連絡してねーバイバーイ」


2本目のタバコを消そうとした時、美香が私の方に来てパーカーをかけてくれた。


「寒かったでしょ、ごめんね。勝手に明日体入行くことにしちゃったんだけど、いい?」


体入??


「あー…キャバってね、1日体験入店っていうシステムがあるんだ。ちゃんと日給その場でもらえるんだよ」


へぇーそんな便利なシステムがあるんだ。


「…って、え!?私も!?」


美香が片目つむりながら顔の前で手を合わせて謝ってきた。


「まぁお金欲しいからいいけど、怖いなぁ…」


私がそういうと美香の顔は明るくなり喜んだ。


「やったぁ!じゃあ今日うち泊まりなよ。身分証は先輩に借りるから大丈夫。」


美香がスキップするから、一緒に着ていたパーカーに引っ張られ、私も急ぎ足でついて行った。
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