依存~愛しいキミの手~

ハマる

蝉の鳴き声が響き渡る中、知美と歩く。


「何か人多いね」


前にお墓参りに来たのは梅雨の季節だった。


その時は誰もいなかったのに、今日はやけに人が多い。


「お盆だからね。りょうもこっち帰ってきてるのかも」


そう言いながら、知美の前を飛ぶ黄色い蝶を目で追っていた。


「そっかぁ!りょうちゃんお帰りー!!」


両手を眩しい太陽にかざし、叫ぶ。


りょうちゃん、知美はすごいよ。ずっとずっとりょうちゃんを見てるんだよ。


すごいよ、すごい強いよ…。


「何で急に?」


少し後ろを歩く知美が、私の背中に呟いた。


「え?」


「何で急にりょうのお墓参り来たいなんて…?」


真っ直ぐに私を見つめる知美。


その目が綺麗すぎて、私には眩しかった。


蝉の声が大きくなる。


「…何でもないよ、ただちょっとりょうちゃんと話したかっただけ…」


風になびく髪を払いながら、目を伏せた。


りょうちゃんのお墓に水をかけている時、背後から知美の視線を感じた。


きっと今まで私を見てきて心配しているんだろう。


きっと、薬をやっているのも分かっているはず。


何も言わない知美の優しさが、すごく心地よかった。
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