依存~愛しいキミの手~
「会いに…行ける…自分…」


「あすか、あなた今もまだ薬やってるの?」


ドキッとして俯いた。


「はぁーっ。やめなさい。薬に頼るのだけはやめなさい」


ママは大きくため息をついて言った。


「…私も若い頃薬物依存症だったのよ」


!?


私が思わず顔を上げた。


「私の場合は仕事のプレッシャーと、ストレスとか、眠る時間が惜しいとかそういうことから始まったんだけど、気づいたら薬がないとダメになってた」


ママは灰皿に灰を落としながら、タバコに視線を向けて話した。


ママも薬に頼ってたんだ…。


戸惑いながら見つめる私の視線に気づいたのか、顔を上げ真剣な目で私を見つめる。


「だから、薬に頼る弱さややめる辛さは分かってる。でも、やめないとあすか本当にダメになるわよ。あなた気づいてるだろうけど、薬物依存になってる。人生捨てたくないでしょ?専門の病院紹介するし、本気でやめなさい」


ママの厳しい目から視線がそらせなかった。


「やめるきっかけが見つからなかったんです…。やめないとやめないとって思ってはいたけど、誰も止めないし、止める所か一緒にやってて…。…そうやって自分に言い訳して甘えてて…。…そうですよね、まずは薬やめて圭介に会いに行ける自分になります」


私もママの目を真剣に見て言った。


ママは優しく笑うと、タバコを消し、箸を持って料理を食べ始めた。
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