依存~愛しいキミの手~
その日の夜、私は正座して頭を畳に当てていた。


「バカヤロー!!」


膝を突き合わせ座っていたオヤジが、ものすごい怒鳴り声で叫びながら立ち上がった。


私の髪を引っ張りそのまま畳に体を投げつける。


「何やってんだてめーは!!」


そう怒鳴り、畳に倒れた私の胸倉を掴み私の体を半分浮かせ拳を振り上げた。


ギュッと目をつむった瞬間、ものすごい痛みを左頬に感じ口の中に鉄の味が広がる。


オヤジの目は大きく見開き、真っ赤に充血し涙が流れ出ていた…。


初めて見たオヤジの涙…


殴られた頬以上に鋭い痛みが胸に走った。


「…い、…ごめんなさい…」


オヤジの固く握っていた拳が震える。


「謝って…済むことじゃないだろうが」


嗚咽混じりに震える声で言われた…と思ったら、畳に投げつけられ、馬乗りになって私を手の平で何度も叩いてきた。


拳じゃなかったのは、オヤジの愛情だったんだと思う。


お母さんと姉ちゃんが泣きながら必死に止めた。


「私たちにも責任があるわ…気づかなかった親の責任よ…」
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