依存~愛しいキミの手~
ビルが所狭しと立ち並び、たくさんの人でにぎわいを見せる。夜なのに夜と感じさせない街並みを見渡しながら数分歩いた。


「あ、ここ」


優がビルの入り口を指差して言った。


へぇーホストクラブってこういうビルの中にあるんだ。


入り口の看板には色々なお店の名前が書いてあり、暗い空の下を明るくしている。


エレベーターに乗って3階についた。


あー緊張してきた。


胸に手を当てて軽く深呼吸していると、また圭介に笑われてしまった。


扉を開けると白い壁に小さなシャンデリアがいくつかつり下がった廊下があり、突き当たりの壁に写真が貼ってあった。


見ていると、すました顔で写る圭介と優を見つけた。

圭介の写真の上には『No.3』、優の写真の上には『No.5』と書いてある。


それを指差し圭介に聞いた。


「このナンバーって何?1人1人番号がついてるの?」


それを聞いた優が噴き出し美香と圭介も声をあげて笑い出した。


え、え!?


「初めてなら分からないよね。これ、売上の順位のことだよ。この店で、3番目と5番目に売れてるってこと」


美香が笑いながら教えてくれた。


あぁ、水商売のドラマでナンバーワン争いが何たらってやってたな…。


圭介が私の頭をポンポンと叩き横向きながら口押さえて肩揺らしてる。


そんな姿に、素直に笑え!!と蹴りを入れたくなった。
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