依存~愛しいキミの手~

再会

「一緒に行こうよ、パスタでいい?」


かがんだ圭介が整った顔を少し近づけて、人なつこい笑顔をした…。





私は目を開いた。


目の前には、あの頃とは流行の変わった若者たちがはしゃぎながら歩いている…。


時間はたったんだ…。


眉を下げ口元を緩ませながら、灰皿にタバコを捨てた。


私は気分転換にマルキューで服を見ることにした。人で混み合うスクランブル交差点を渡る。


!?


視界の隅ですれ違った人影に足が止まった。


視界にうつったのは一瞬だったけど…


!!!


後ろを振り返って、それらしき人を探したが、人ごみに紛れて分からなかった。


あれは…圭介…じゃなかった…?


ドンッ


人に肩があたり私は我に返って歩き出した。


別れた後もよくあった…。

電車の中でも街中でも、いつも探していた。


後ろ姿を見つけ思わず声をかけると全く違う人だったことが、何度もあった…。


また人違いかな。


「ははっ…」


乾いた笑いが出る。


いくら圭介の家の近くだからって、そんな偶然あるわけがない。


夢を見すぎてるよ…。
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