依存~愛しいキミの手~
崇史との出会いは、一輝にハマったくらいの時だった。蘭と衣笠に何かの用事で行った時声をかけられた集団のうちの1人。


仲良くなって2人で遊ぶうちに、体の関係を持ち付き合いうようになった。


…が、こいつには別居中だけど奥さんがいた。全く私は知らなかったし、私以外にも女がいた。


その女に妻子持ちだと言うことを聞き、キレて問いただしたら殴られて音信不通になった…。


本当に最悪なヤツだった。


そんなヤツが、素知らぬ顔して声をかけてきやがる…。


「何怖えー顔してんの?」


気づいた時には、そう言った崇史の頬に、グーパンをかましていた。


あ…やば…!


「てめーふざけんじゃねぇぞ!!」


頬を押さえながら崇史が私の胸倉を掴んだ。


「てめーこそふざけたことしてんじゃねぇよ!?私に殴られて当然だろーが!」


そう言って崇史の股関を膝蹴りして、うずくまる崇史と呆然としている周囲を無視し沙織の手を引っ張り駅の中へ入っていった。


口元が思わず緩んで笑いが止まらなかった。


「え…あ、あすか?」


1人で声をあげて笑う私に、おどおど後ろを振り返りながら沙織が声をかけてくる。


私が崇史との過去を話すと沙織も笑い出した。


「まじウケるし!!あんた最高!!」


お腹を片手で抱えながら、私の背中をバシバシ叩いた。


私は崇史を殴り黙らせたことで、バカな自分のこともぶん殴れた気持ちがした。

すごくすっきりして気分が清々しかった。
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