依存~愛しいキミの手~
沙織と交代しながら、ハイテンションでナビに沿って運転した。


駐車場に止め、広場まで歩いている時は、さっきまでのハイテンションは何だったのかと思うほど2人の間に会話はない…。


広場に着くと懐かしい景色が目に飛び込む。


桜は咲いていないが、何も変わらない。


広い芝生の広場の端に、東京タワーの小さな版の赤い建物。


空を見上げると空気が澄んでいるからか、あの日よりもたくさんの星が輝いていた。


「テレビ塔行こうか」


立ち止まる私の手を、沙織が引っ張った。


「テレビ塔?」


ゆっくりと歩く中、私が聞く。


「え?鍵つけたのテレビ塔でしょ?」


あ、あそこテレビ塔だったんだ!たがら東京タワーみたいな形してたのか!


納得する仕草を見せる私をクスクス笑う沙織。


赤い塗装された階段を上り、3階まで行く。


足を踏み入れた瞬間、


「「あはははっ」」


沙織と声を上げて笑ってしまった。


白い金網には、南京錠がパラパラとかかるだけ。


たくさん書いてあった落書きも綺麗に消えていた。


後から聞いた話し、定期的にフェンスを張り替えしているみたい。


沙織と笑いながら2階に下りる。
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