依存~愛しいキミの手~
圭介が帰ってくる…。


頭が真っ白な中、心の中で優の言葉を繰り返してみた。


圭介が…3月に…


ドクン


心臓が大きく跳ねだした。

圭介との思い出が頭を駆け巡る。


出会った渋谷から、初めてキスをした日、夏にクラブでハメをはずしたこと、付き合った日、初めて体を重ねた幸せな夜…。


そして、最後に見えたのは病室での圭介の疲れきった切ない目だった…。


もうすぐで会える。


まだまだ先だと思っていた。


現実味を帯びると、圭介と別れた時の顔が胸を締め付ける。


あんなにひどいことしたくせに…。


私、最低なことしたくせに会いたいと言っていいの…?


会いに行く資格なんてあるの…?


不安と恐怖が入り混じり、血の気が引いていく。


「私…、圭介に会いに行く資格あるのかな…?」


私がテーブルを見つめ呟いた。


「あんなひどい当て付けして、自分で幸せ壊したくせに、また圭介に会いに行く資格あるかな…?」


私は顔を上げて、ソファーに座る優の目を真っ直ぐ見つめた。


きっとかなり切羽詰まった顔だったと思う。
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