依存~愛しいキミの手~
「圭介も同じ気持ちだと思うよ。…あすかには黙ってたけど、あすかに会ったこと圭介に言ったんだ。1度帰ってきて会ってやれって…。箱のことも伝えたら、やっぱりそうだったのかって…」





優がタバコに火をつけると、片付けをしていた手を止め固まっていた知美と美香が慌ててテーブルを囲んだ。


「優、そんなこと言ってたの!?聞いてないし!!」


美香が焦るような口調で言う。


「美香にも黙ってたけど、俺…圭介から別れた原因は聞いてたんだ…」


美香が目を丸くして固まった。


「圭介が、美香に言ったら心配してあすかの所に駆けつける、そしたらあすかは余計に後悔して傷つくから言うなって言われてて…」


優がゆっくりタバコを吐き出して、私の目を真っ直ぐに見ながら言った。


「あいつな、春子ちゃんのことであすかに辛い思いさせてたこと、すげー後悔してたよ。忘れられはしないけど、あすかのこと俺らやあすかが思ってる以上に本気だった。あすかとちゃんと一緒に前に進んでたよ。…ただ、それを伝えきれないで支えてやれなかった自分の責任だって…」


優の話しを聞き、胸が締め付けられて涙がどんどん溢れていく。


何度拭っても視界はぼやけ、両手で顔を覆って泣いた。
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