依存~愛しいキミの手~
あの時は嫉妬に狂っていたけれど、今は圭介の気持ちが理解できた。


離れていた時間に成長できた部分もあるだろうけど、それだけじゃない。


「中見たい」


私が口角を上げて圭介に言った。


圭介は目を丸くして私の顔を見つめた後、またゆっくりと視線を箱に戻した。


まだ少し埃をかぶる蓋を圭介が開ける。


「これが春子、これが中2くらいの俺」


私の肩に手を回し、1番上に乗った写真を取り出して、説明してくれた。


やっぱりこの顔だ…。


「私ね、春子さんに会ったの」


「は!?」


まばたきをして私の顔を見つめる圭介。


私は、病室で体験した不思議な出来事を圭介に話した。


「それって…三途の川渡りそうになったってこと?(笑)」


くしゃっと笑い冗談を言う圭介。


「分からない。でも、りょうちゃんには会わなかったよ(笑)」


私も冗談を言い返し笑った。


まぁ、そんな話しを信じろって言う方が無理だよね?


写真の中で微笑む春子さんに問いかけた。


「りょうさんは、まだその時ともさんの側にいたんだよ」


!


なるほど…。


「そっかぁ、春子に会ったのか。春子、俺が先に進めて喜んでんだろうな」


圭介も写真を見つめながら優しく微笑んだ。
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