依存~愛しいキミの手~

日常

まばたきをすると、スイッチが切れたように体の力が抜けた。


倒れかけた私を圭介が抱きしめてくれた。


ギュッと強く抱きしめ、泣きながら私の頭を優しくなでた。


知美が死んだなんて信じることができないのに、なぜか涙は止まらない。


きっと心のどこかでは理解していたんだ。


ずっとずっとりょうちゃんだけを見つめ続けていた知美を、私も見つめ続けていたんだから…。


「笑顔で見送れなんて、残酷な遺言残すよね…」


茜が呟く。


「でも、私が知美の立場なら同じこと言ったかもしれない。…好きな人の元にやっと行ける…きっと、知美は笑ってる…」


茜が涙をハンカチで拭いながら優しく笑った。


知美は…笑ってる…。


ずっと私以上に辛い思いをしながら、支えてくれていた。


どれだけりょうちゃんに会いたいと願っていたんだろう…。


やっと願いが叶ったなら、私は祝ってあげるべき…。


でも、知美の死を笑って見送れるほど大人じゃなかった。


初めて着た喪服は、知美のために用意した物だった…。


私は泣き崩れながらお葬式に出席した。圭介に支えられながらお焼香をし、おばさんに知美の顔を最期に見てあげてと頭を下げられた。


そんなの無理と思った。


だけど周りにも見なきゃ後悔すると言われ、最期なんだ知美に会えるのは最期なんだと自分に言い聞かせた。


知美は綺麗な顔で眠っているようだった。その顔は優しく微笑み、りょうちゃんの元へ行けた喜びが溢れているようだった…。


その顔を見て私は、知美が幸せを選んだんだと感じた。


告別式の日、私は泣きながら上手く笑えない笑顔で知美を見送った…。
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