依存~愛しいキミの手~
「最後の内容がな、
ごめんね圭介、私弱くてごめん。圭介を1人残してごめん。裏切ってごめん。こんな形で残されたら忘れなくなるよね。でも、辛さから解放して下さい。圭介もいつか私から解放されて明るい人生を生きて。圭介の笑顔は私の道しるべだったんだよ。これからも笑顔でい続けて、私が安心して見守れるように。
勝手だけど、復讐はしないで。そんなことで落ちてしまう圭介は望んでいない。私が望むのは圭介の幸せだけだよ。笑顔で生きて。幸せになって。私ができなかったこと、圭介が叶えて。いつか、過去を乗り越えて明るく生きてるなんてすごいねって言ってくれる人に出会えるように。
…て書いてあったんだ。」


!!


私は俯いて涙をこらえていたが、最後の言葉を聞いて顔を上げた。


圭介が優しく笑ってる…。


「さっきお前が俺に言ってくれたこと。俺も驚いたけど、嬉しかった…。春子の言ってたことは本当だったんだなって」


煙りを吐き出し、灰皿に灰を落とす。


「明るく生きよう、春子が安心できるようにしっかり前向いて生きていこうって、年少の中で1つ1つ整理していったんだ。…でも、何か分かんねーけど、何かがずっと引っかかってたんだ」


伏せていた長い睫が上を向き、圭介が真っ直ぐに私のことを見つめた。


「それが、さっきのお前の言葉で取れた。春子に会えたっつーのかな?ほら言ったでしょって笑ってる春子が見えた気がしたんだ。したら、すっげーすっきりした」


圭介の目が細く三日月型になって、優しく笑いかけてくれた。
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