依存~愛しいキミの手~
「私美香って言うんだ。あんた面白いね」


そう言いながら、灰皿の所まで数歩歩いてタバコを捨てに行く。そして戻ってきてまた隣に座り、コルクの厚底サンダルを脱ぎ膝を抱えた。


「名前なんて言うの?」


膝に頭を乗せて、上目使いで聞いてくる美香。


「あすか」


そう言ってタバコを地面に落とし踏み潰そうとしたら、足を押さえられた。


?


美香はサンダルを履いて落としたタバコを拾い、灰皿に捨てに行った。


さっきも思ったけど…


「意外でしょ」


私の心を見透かし、首の後ろをかきながら照れくさそうに言う。


「好きな街汚したくないからさ」


頬を少し赤らめて笑顔を見せる美香に、思わず口元が緩んだ。


「そうだね、汚くしちゃったらこいつもかわいそうだしね」


そう言いながら顎をクイっと動かし、美香の後ろにあるハチ公をさした。


美香がハチ公をポンポン叩きながら笑っていると、


「おー美香!友達?」


男の声が美香を呼んだ。


声のした右側を振り向くと、男が2人ハチ公口の方から歩いてきている所だった。


「優、圭介!今ナンパしてたの、ねー」


そう無邪気な笑顔で言い、美香が私の腕にしがみついてきた。
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