依存~愛しいキミの手~
「じゃあこの紙に記入してくれる?あと、身分証見せてくれるかな?」


心臓が飛び出しそうなほど、ドキっとした。


化粧してる時に美香が保険証を持っているか聞いてきた。たまたま歯医者の後に渋谷に来たので持っていたのだけれど、それをコピーして、生年月日の数字を書き換えてまたコピーし、偽造した。


それを店長に恐る恐る渡す。


バレないかな…。もしバレたらどうなるんだろう…。


無言の空気に威圧感を感じた。


さらに汗ばむ手。

不安から、ボールペンを持つ手が震えるので、ギュッと握り直した。


「18歳になったばっかりってことは、高校行ってないの?」


いい意味で私の不安を裏切ってくれた。


張り詰めていた緊張感がほぐれ、手の力が抜ける。


「はい。2人とも辞めちゃったんです」


女優だ…。


店長の目を真っ直ぐ見つめ微笑みながら、堂々と嘘をつく美香を見て思った。


「そうなんだ。高校生の歳に見えないね。大学生くらいに見えるよ」


だ、大学生…!?それって中学生にしたらかなり老けてるってことで…。


バレなくてホッとした反面、何か微妙に傷ついた。
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