依存~愛しいキミの手~
「あすか、優と圭介。この子あすか」


「よろしくー」


私にピースを見せながら優が言う。アロハシャツから見える優の腕は、美香同様日焼けして黒かった。


口角を軽く上げながら小さく会釈した圭介は、優とは正反対に日焼けもせず黒髪で、なんで優と一緒にいるんだろう?と思うくらい爽やかだ。


「あすかも美香も暇?今から飯行くんだけど、一緒に行かね?」


圭介が目を細め笑って言った。


「行く行くー!!やったぁー」


そう言って美香は優の腕に絡みついた。優は美香の腰に手を当て歩き出す。


付き合ってるのかな?


そんな風に思いながら2人の後ろ姿を見ていたら、美香が振り返り手招きして


「一緒に行こうよ!」


と、明るい笑顔を向けてくれた。


圭介が私の目線までしゃがみこむ。


「パスタでいい?」


優しい笑顔を私の顔に少し近づけ言った。


顔が小さく、鼻筋が通り、綺麗な形の二重の目に長い睫、端が上を向いている口、笑うとえくぼのできる頬。黒い髪が整った顔をさらに際立たせている。


こんなに整った顔、初めて見た…。


そんな顔が私に近づき頬が赤くなる。


そんな私を見て圭介がまた優しく笑い、頭をポンポンと軽く叩いて立ち上がった。


ドキドキしているのと、赤い顔を見られるのが恥ずかしくて、下を向いていたら手を引っ張られた。


「早く行かないと置いてかれるぞ」


何でだか分からないけど、美香、優…そして圭介ともっと仲良くなりたいと思う気持ちが心に広がる。


頭よりも気持ちが先に働き、私は圭介に引き込まれるように立ち上がって、足を踏み出した。
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