依存~愛しいキミの手~
「ねぇ、塾通ってるってことは高校に進むの?」


タバコを足で踏み潰しながら美香が聞いてきた。


「うーん…。卒業してやりたいことがあるわけじゃないから、高校出れば就ける仕事の幅が広がるって言われて、それもそうだなって。…流されてるだけなんだけどさ」


「高校行けるなら行った方がいいよ。美香だって一応進路決めてるし」


圭介が美香の頭に手を乗せ言った。


「一応って何!?私アパレルの勉強してカリスマ店員になるんだから!!」


へぇー。美香ってもうちゃんと将来の夢持ってるんだ…。


「そろそろ出発するか」


圭介がバイクの所まで歩いて行った。私たちも後について行く。


「多分寒いから、これ着な」


そう言って圭介はシートを開けて中からパーカーをだして、私に着させてくれた。


圭介の匂いだ…。


口元が緩む。


「何にやついてんだよ(笑)」


圭介が頭をくしゃっとやってきた。


「圭介の匂いがするなと思って。これ、香水?すごくいい匂い」


「ブルガリのプールオム。そんな気に入ったならやるよ」


そう言ってシートの中から香水を取り出した。


「え!?本当にもらっていいの!?ありがとう」


やったぁ!


圭介と同じ匂いになれるのと、圭介が持っていた物をもらえた嬉しさで心が舞い上がっていった。
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