依存~愛しいキミの手~
トイレで手を洗ってると、鏡越しに私をみながら美香が話しかけてきた。


「せっかくのデート邪魔してごめんね」


ハンカチで手を拭く。


「ううん、2人だと思うとすごい緊張しちゃってたから、美香たちがいるって聞いて安心したんだ」


鏡の中の美香を見て笑って言うと、美香が真顔になり視線を洗面台に落とした。


「桜木町に来てみたかったのは本当なんだけど、家帰った後2人に会って…その時圭介が年少の中での出来事話してきたの。話そうと思えるようになったのは、あすかのおかげだって言われた」


あ、昨日の天ぷら屋での…。


「それ聞いて、本人自覚してないけど、あすかに惹かれ始めてるんだって思ったんだ」


美香が洗面台に寄りかかり、私の顔を見て目を細めた。


「えぇ!?それはないない!」



「うん。でもね、知り合って間もないまま付き合ったら絶対あすかが傷つくと思ったの」


…。


「付き合うまでの時間って関係ないと思ってるけど、圭介の場合は過去が過去でしょ?吹っ切れてるとは思えなくてさ…」


美香は眉を下げ足元を見つめながら、ゆっくりと話してくれた。
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