隣の甘々彼氏 -甘すぎる危険な毎日-
“クール王子”
…そんな愛称が与えられてるからみんなの前で素顔を出せないのかもしれない。
素顔を出せない…あたしもそう。
本当は恋愛もしたいし、もう少しみんなに素直になりたい。
あたしは学校では心華にしか素直になれない。
後は家族や幼なじみくらい。
偽りの自分を作り続けるのは正直辛いし、疲れる。
「…今、前川は素顔なの?」
「そうだな、これが俺。いや、まだ100%ではないけど」
「あたしも今が素顔だよ」
「お互い素のままってわけだ」
「ふふ。そうだね」
あたしは、素顔の時しか見せない笑顔を思わずこぼした。
男子に笑顔を見せたのなんていつ以来なんだろう?
「……笑った方がいいぜ?」
「え?」
前川は、真っ直ぐな瞳であたしを見つめていた。
――ドキッ。
や…やばいかも……。
「笑った方が似合ってる」
「な――っ!?」
顔が赤くなってるのが、自分でもはっきりわかる。