隣の甘々彼氏 -甘すぎる危険な毎日-
結局自転車登校はなぜか拒否されてしまった。
…なんでダメなんだろ?
「明日からちゃんと送ってくから、自転車で来るなよ?」
「………うん」
でも、前川のファンとかに見られたら大変なんじゃ…。
「ファンとか平気?」
「…ファン?」
「あれ?知らないの?」
「なにそれ?」
「心華が言ってたんだけど、なんか前川の事好きな子達が、勝手にファンサイト作ったらしいよ?」
「…なんじゃそりゃ。アホらし」
「ふふ。前川らしいね」
「うっせ」
そしてあたし達は学校を後にし、自転車置き場に向かった。
「カバン貸して」
「ん」
前川は、あたしと自分のカバンをカゴに入れた。
「荷台に乗って」
「ん」
「さっきから“ん”ばっか」
「え?そう?」
「うん。ほら」
あたしは自転車の荷台に乗った。
「しっかり捕まれよ」
「うん」
あたしは前川の背中に捕まった。
「…行くぞ」
「うん」
わぁ……あったかい。
前川の背中は心地よくて……あったかかった。