隣の甘々彼氏 -甘すぎる危険な毎日-
このままずっと……ここに座っていたい…そう思った。
「どっち?」
「ここを右」
もうすぐ…家に着く。
もうすぐ…今日は終わり。
「ここ左に行ったらすぐ」
「わかった」
自転車でも20分かかる道のりも…一瞬の出来事のようだった。
キキッ
自転車が止まった。
「じゃあ気をつけてな」
「はは。もう目の前だよ?」
「いいから」
「…ありがとう。見直した」
「………じゃあな」
前川はそそくさと帰って行った。
今…前川…照れてた…よね?
――ドキッ。
今日はなんだかときめいてばっかだよ…。
「ただいま〜」
「おかえり美愛。晩御飯もう少し待ってくれる?」
「うん。あたし先にお風呂入ってくるね?」
チャプンッ
「はぁ―…」
前川って本当はあんな人だったんだなぁ―…。
「…かっこよかったなぁ」
お風呂から上がり、夕食を済ませて自分の部屋に向かった。
「…宿題しなきゃ」
数学の教科書をパラパラと捲る。