また、いつか
病院と母
数年後、僕の体もすっかり良くなって、父と母が復縁出来て、また「普通」の日常が僕らに戻ってきた頃に。
母は赤子を授かった。
「母さん、調子はどう?」
「まあまあね。慎一、林檎を剥いて頂戴」
「わかったよ。…ねぇ、いつ生まれる?」
「来週って何回も言ったじゃない。ふふ、そんなに楽しみなの?」
もちろん、と僕は返して、質問する。
「はは、女の子でしょう?」
「ええ。名前、何にしようかしら」
それなら、あの子かも知れない。もしかしたら、転生しているかも知れない。僕の、大切な兄妹として。
「ねぇ母さん。僕、良い名前の候補を知ってるよ」
「どんな名前?」
「うん、あのね、」
日夏詩って言うんだ。