また、いつか
「…あぁ、遅かったな」

それは僕の親友だった。

「なぁ、元気かい?」

と、元気なく笑って言ってみた。すると彼は涙ぐんだ。声が、濡れていた。

「……ごめん、俺のせいで入院させて」
「僕なんか、どうでもいいだろ」
「良いわけないだろ、ばか」
「君を心配してるんだよ」

僕が怪我をした理由。それは、階段の近くで少しふざけていたらだんだん言い合いに発展してしまって、彼が勢い余って僕を突き落としてしまったから。彼に悪気は全く無い。ちょっとどついただけだ。僕がどつかれた瞬間にふらついて、足が縺れて、階段から真っ逆さまに落ちた。だから僕が悪いんだ。

僕は僕のせいで怪我をしたのに、小唄は自分が悪いと言うんだ。

あぁ、何だか悲しくなってきた。涙が出てきたけど、寝転がってカバーしよう。

「いいんだ。僕が悪いんだし、それに全然痛くない。君が気にするほどのことでもないだろ」

そう言ったら、彼はとても悲しそうな顔をして、また泣きそうになった。

「…っ違う!俺の…俺のせいだ…っ!何でお前は…っ、何で、何でいっつも自分のせいにして丸く収めようとするんだよっ!」
「な、僕はただ…」
「…俺は、お前のそういうところが、昔から大嫌いだ」

そう言い残して、彼は病室を出ていってしまった。君はどうしてあんな、あんな酷いこと言ったのかな。僕はそんな風にした覚えは無いのに。

ねぇ、涙が止まらないよ。これは君のせいにしてもいいのかなぁ。

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