また、いつか
昔、と言っても僕が、小学二、三年生の時だけど。僕には仲良しの女の子がいた。
名前は、確か…
…駄目だ、思い出せない。何かに妨害されて、はっきりとは思い出せない。
その子は、僕とよく外で遊ぶ元気な子だった。僕はその子がいつまでも僕と一緒に居てくれるんだと思ってた。
でも、その子はある日、病気になってしまった。病気の名前は分からなかった。
もしかしたら僕にだけ知らされなかったのかも知れないけど。
その時僕が住んでいたあの町には小さな病院しか無かったから、その子は県立の大きな総合病院に移ることになった。
僕はその子が大きい病院に移る日にお見舞いに行った。その子は僕に、こう言ったんだ。
『私といつも一緒に居てくれて、本当にありがとう。さようなら。ねぇ、私達、また会えるといいね』
僕は肩を震わせて、泣きそうになりながら返事をしたんだった。
『うん、うん…っ!また、またいつか。いつか絶対、また会おうねっ!僕、僕、もっともっと大きくなって、君に会えるようにお祈りしてるから!ね、だからっ、だから…っ!』
最後には堪え切れなくなって泣いてしまった。きっと、あの子が死んじゃうって思ったからだと思う。昔から泣き虫だったんだな、僕。
そしてあの子は最後に、
『……また、いつか』
と言って、行ってしまった。