また、いつか
……でも、あの子は此処の病院に入院はしていない筈。別の市にある総合病院だ。そもそも、彼女はさっき此処には入院していないって、そう言っていたじゃないか。

「もう、忘れちゃったのかと思ったわ。私ね、病院を移ってから、ずっと貴方のこと考えてた。それで、いつ会えるかなって楽しみにしてたら、もう一回、もっと大きな市の病院に移ることになったの」
「それが、この病院…?」

大正解、と彼女は続けた。

「でもね、この病院で私、死んじゃった。ふふ、情けないよね。貴方に会うって、またいつかって、この私が言ったのに」

彼女はそう言って、少しだけ涙ぐんだように思えた。最後の方は、声が震えてよく聞こえなかったから。

「……でも、こうしてまた会えたじゃないか。それで、それだけで僕はいいんだ。僕も、僕だって君に会うの、ずっと楽しみにしてたから…っ!」

いよいよ僕も泣きそうなのを堪え切れなくなってきた。どうしよう、あの子の前で泣きたくないのに。情けない姿は見せたくないのに。

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