線香花火~ひと夏の小さな恋~
あっという間に、駅についた。

お互い違う方面なので、別々のホームに上がる。

「なぁ、杏李!」

「ん?なーにー??」

向かいのホームからホームへ、ほとんど人もいないホームで声のキャッチボールをした。

「俺らってさ、いい友達だよな。」

いきなり何よ。柄でもない。

「う、うん。っていうか、親友でしょ!」

私は、はにかんでみせる。

「だよな!この先も、ずっとそうでいよう!大親友!」

優馬は、そのしなやかな腕を、私に向かって高くあげた。

そして、白い歯をにぃっと笑った。

その爽やかな笑顔に、不意にも少しドキッとしてしまった。
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