線香花火~ひと夏の小さな恋~
次の瞬間、優馬は風間くんの胸元をぐいっとつかんだ。

ひどく怒っていて、とめられそうもなかった。

優馬が風間くんに殴りかかろうとした時、私は勇気を振り絞って言った。

「やめてよ!もう、いいから!!」

すると、優馬は顔をひどくしかめながら風間くんを離した。

「なんだ、もう終わりか?ふっ。情けねーな。」

「次、同じことをしたら、今度はお前をブっ殺す。」

あまりの優馬の強烈さに、とうとう風間くんは圧倒されて、その場を立ち去った。

「おい、大丈夫か?アイツ、もともとああいう奴だからさ・・・って、あれ?」

私は、恐怖から解放された安心感と、優馬が助けに来てくれた事実で、涙で顔がぐちゃぐちゃになっていた。

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