線香花火~ひと夏の小さな恋~
かろうじて見える中で、桃子ちゃんが優馬の腕にひっつくのがわかった。

「ぎゃ~~~!!」

「ひぇ~~~!!」

暗闇の中、すさまじい悲鳴が響き渡る。

「もうやだよぉ・・・出ようよぉ・・・」

私は、声にならない声で叫ぶ。

すると、私の手を優しく何かが包んだ。

暗くて、よく見えなかったけど、誰かの手だった。

一発で、優馬の手だとわかった。

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