雪の種
◇第5章◇ 栄養剤
「もう、あたしには…安心して帰れる場所がないよ―――…」
「翼、その子のために生きなよ、その子もそれを望んでるよ」
「そんなの分かんないじゃんっ!なんで?なんで亮君に琴美のことなんてわかるの!?」
軽い気持ちで踏み込んでこないで―――。
「分からなくてもいいんだよ、だってそーゆーもんじゃん、俺だって昔傷つけた子のことずっと考えてたけどなんの解決にもならなかった。だからその子のために生きてるんだ。…だから、翼もその子のためにさ…」
―――――亮君…。
「――その子、今はどうしてるの?」
「俺がいなかったら今頃は楽しい日々をおくってたんじゃないかな」