雪の種
◇第6章◇ 光
ブランドのスクバがズラーッと並ぶ棚を通り過ぎノーブランドのスクバを眺める。
「翼、あっちでもいいのよ?」
「ううん、あたしこっちがいい!」
ブランドじゃなくたっていい。
誰かの手作りならそのひとつひとつが大事なブランド。
「我慢しなくていいわ」
してないよ、我慢なんて…。
あたしが選んだのは隅に小さな雪の結晶が刺繍されたスクバ。