3番目の高度合成数。-年下のキミと-
 今日の大志くんは珍しくブレザーを着ていて、いつもと違う姿と、いつもと違う無表情な顔に戸惑ってしまう。


 でもここは……。



 私は初谷さんをおずおずと見上げ、ぎこちなく笑顔を向けた。


「あの……初谷さん、私はこの通り、大丈夫ですから。ありがとうございました」



「……了解。気をつけてね」


 初谷さんは手を軽く上げると、拍子抜けするくらい、あっさり改札の方に帰って行く。



 本当に単なる厚意だったんだ。疑ったことを申し訳なく思った。




 その後姿を少し見送ってから大志くんの方を向くと、まだ手を差し出していた。

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