3番目の高度合成数。-年下のキミと-


 会社が終わった後、約束通りに『cube』に向う。



 外はすっかり肌寒くなっていて、空もだいぶ暗くなるのが早くなってきている。


 いつもよりゆっくり歩いて辿り着いた、『cube』の扉の前で一呼吸。



 大志くん、いるんだよね。




 どんな顔しようかな……、やっぱり帰ろうか。


 でも、そんなことしたら大志くんが悲しむだろうし……。



 えぇいっ!




 目を瞑って扉を開けた。



 カランカランッ。


「いらっしゃいませ!」
「いらっしゃい」


 鈴の音の重さと反比例するように、明るい声が聞こえてホッとする。


 いつものカウンター席に着くと、大志くんが笑顔で迎えてくれた。


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