3番目の高度合成数。-年下のキミと-
 とりあえず私はそれを一口。


 鼻腔をくすぐる桃の香り。


 うーん、大志くん、上達してる。



 ふと見ると、大志くんがカウンターに手を置いて私が飲むのを見ていた。


「美味しいっ」


 斜め上の大志くんにそう告げると、満足そうに頷いてから話を続ける。

「大丈夫ですよ。申し込みが明々後日(しあさって)なだけで、試験まで三ヶ月もありますから」


 大志くんは、平気な顔でそう言うけど……。


「三ヶ月"しか"だよ!?」

 大志くんが両肩を上げる。この返事想定内です、ってこと?


「実句さんって、夏休みの宿題、いつ終わらせてました?」


「ふぇ?」


 急に違うことを聞かれて、かなり間抜け面してしまったと思う。


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