3番目の高度合成数。-年下のキミと-
「土曜日、朋くんが来るんだった」


 そう呟いてからハッとする。

 何となく、大志くんに悪い気がしたから。



 でも、大志くんはさっきと変わらない表情で聞いていた。



「良かったですね」



 良かった……?



「でも、どうせまたドタキャンだよ」



 何となく、一人気まずい思いをしている内に、マンションに着いてしまう。

 時計を見ると、もう夜の九時半になりそうだった。



「ごめんね、遅くなっちゃったね」


「全然。実句さんの顔見れたし、帰りたくなかったですし……」



 暗い顔を隠すように、はいどうぞ、と大志くんがバッグを渡してくれる。



「何かあったの?」



 手ぶらになった大志くんは苦笑しながら肩をすくめた。
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