3番目の高度合成数。-年下のキミと-
「いつも通り、お父さんがうるさいだけです」

「そっか……」


 また、進路の話でもめてるんだろうか? 元気のない大志くんに何て声を掛けようか迷った。


 元気になって欲しいのに。



「ねぇ、実句さん?」


 大志くんが右手を差し出してくる。


「握手、してくれませんか?」

「握手?」


「テンション、注入したいんです」


 握手なんかで大志くんのテンションが上がってくれるなら嬉しいけど。


 ――私は大志くんの右手をキュッと握った。


「勉強、頑張ってね」

「電話でも嬉しかったけど……直接聞けて良かったです」

 大志くんは柔らかく微笑むと、そのまま黙ってしまった。



 ジッと見つめてくる大志くんの視線に、ドキドキしてしまう。
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