3番目の高度合成数。-年下のキミと-
「悪いな……」



 それだけ言って口を閉じる。




 こんな時にってこと?


 何が悪いの?
 


 朋くんは肝心な言葉はなかなか言ってくれない。



 欲しい言葉を言ってくれない。



 こんな時は傍に居て欲しいのに。





 でも、仕事だからそんなことは言えない。


 分かってる。



 でも心はどんどん重くなっていく。



「気にしないで、大人しく寝ておくから」


 そう告げると、朋くんが私の横に手をついた。



 ギシリ、とベッドが軋む(きしむ)。





 影が落ち、朋くんの瞳が近付いてきた。





「……っ」



 頭痛を堪え(こらえ)、サッと横を向いた。


「だ、だめ……風邪がうつる……」



 朋くんは少し止まっていたあと、私の頬にキスをした――。

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