3番目の高度合成数。-年下のキミと-
「ど、どうしたの……」


 大志くんも携帯を耳にあてているみたい。


『ダメだ……、ここからだとちゃんと見えない』

 小さな声でそう言ったかと思うと、大志くんがバッと走り出した。

 
 このマンションの入り口に消える。


 ……え?


 え? まさか?


 うちのマンションにはオートロックなんてないからそのまま入れてしまうけど……。


 携帯から聞こえてくるのは服の擦れる音と、ダッダッという階段を駆け上がる足音。


 その足音が、携帯からだけじゃなくて、ステレオのように外からも聞こえてくる。




 タンッ、と最後に聞こえると、足音が止んだ。



『ハーハー……』


 恐らく携帯を手に持ってるだけの大志くんの、荒い息遣いが聞こえる。




 私は玄関に向かった。
< 202 / 333 >

この作品をシェア

pagetop