3番目の高度合成数。-年下のキミと-

「テスト前に風邪うつったらどうするの?」


「……」


 大志くんが上目遣いで、私の顔色を伺うように見つめてきた。


「気をつけて帰って?」


 その言葉で、大志くんが苦痛そうに顔を歪める。



 でも、違うの。私は首を振った。



「大志くんのおかげで、安心して寝れそう……。ありがとう」



 そう言うと、大志くんが胸に手を当てる。


「良かった――」


 大志くんは心底ホッとしたように笑顔を見せると、ペコリと頭を下げて帰っていった。




 私はゆっくりベッドに戻る。


 大志くん、風邪、うつらないといいけど……。




 部屋の明かりを消して、天井を見上げても、もう、不安な気持ちは襲ってこなかった。


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